神奈川県高座郡寒川町岡田4-13-8
0467-75-4160
http://nouka.tv/mitome


どこよりもおいしい生食用ナス

三留さんは、神奈川県発の生食用ナス“サラダ紫”をつくっている数少ない人のひとりで、そのうえ三留さんがつくるサラダ紫がもっともおいしい、というのが評判だ。
サラダ紫はアクが少ないので、漬物や味噌汁にしても色が黒く変わらない。薄めの皮は柔らかくて歯ざわりがよく、切ってドレッシングや醤油をかけるだけで、いくつでも食べられてしまう。
しかし、まだ開発されて数年しかたっていないので、残念ながらスーパーなどはあまり見かけることがない。そのため東京から直売所に買いにくる人も少なくなく、三留さんのもとには直売所から「サラダ紫はもうないか?」という問い合わせがしょっちゅうかかってくるそうだ。
「これからは伯爵かぼちゃという甘みの強いかぼちゃやオクラ、ちいさめのにんじんも出てきます。サラダ紫も11月上旬までは楽しんでいただけると思います」

野菜本来の味を楽しむ

三留園芸の野菜は、昔ながらの農法で育っている。12代も続いている三留園芸に代々伝わる方法に工夫を重ねて、ストレスのない野菜をつくるのだ。しかも減農薬にしているぶん、日々の観察には余念がない。
「虫がいてもいなくても農薬をかけるようなつくりかたをしていたら、手間がかからないから、みなさんにも安く野菜を提供できる。でもそれを自分や自分の子も食べるんだって考えたら、やっぱり手間がかかっても安心して食べられる野菜をつくりたい。だからたとえ虫がいても、それは畑なんだから当たり前。食べる部分に問題がなければ、そのままにしておくこともありますよ」
土づくりににもこだわりが。裏山の落ち葉でつくった腐葉土や油かす、米ぬか、肉骨粉などのほか、土の保湿にはワラを使っている。  
「ワラをつくるために、お米をつくっていたりもするんです。野菜も生きているものですから、それぞれに生きる力を持っている。その力を最大限に活かして育てるように努力しています」
最新の技術や機械はないんですよね――そう三留さんは恥ずかしそうに笑ったけれど、こんなふうに育てられたからこそ、昔の畑でとれたような味の濃い野菜になるのだろう。

子どもたちに食べさせたい野菜を

4歳になる三留さんの娘さんは、もちろん好き嫌いがない。しかも子どもの味覚は正直なもので、野菜の味の違いがわかってしまうのだ。
「うちの子はピーマンもにんじんも、生で食べますね。野菜って子どもには嫌われがちだけど、本当においしいものをおいしい食べ方で食べていれば、嫌いにならないんだと思います。今の子どもたちにも、ホンモノの味のする野菜をたくさん食べてほしいですね」

取材/文 吉川愛歩


このページの先頭へ